気候変動による災害リスクを金融機関はどう分析する?金融庁などが実践パネルを開催
金融庁など5省庁は、気候変動に関するデータの活用を進めるため、2026年8月28日に実践パネルを開催します。サステナビリティ開示の進展や、豪雨・台風などの物理的リスクに金融機関がどう対応するかを議論します。
まず一言でいうと
金融庁など5省庁は、気候変動による豪雨、台風などのリスクを企業や金融機関が分析し、対策に生かすための実践パネルを2026年8月28日に開催します。
何があった?
金融庁、文部科学省、農林水産省、国土交通省、環境省の5省庁は、「第2回 気候変動関連データの活用と適応に関する実践パネル」を開催すると公表しました。
開催日時は2026年8月28日(金)14時から17時まで、場所は中央合同庁舎第7号館です。テーマは、「サステナビリティ開示の進展と本邦金融機関における物理的リスクへの対応の高度化」です。
第一部は公開で行われ、金融庁公式YouTubeチャンネルで配信されます。一般向けの会場傍聴席は設けられません。第二部は、率直な意見交換を行うため非公開です。
公開される第一部では、主に次のような内容が取り上げられる予定です。
- SSBJ基準を含むサステナビリティ開示・保証制度の進展
- 極端な気象事象が金融リスクへ及ぼす影響に関する国際的な取組
- 風水害リスクに関する金融機関の取組や課題
- 物理的リスクを踏まえた与信関係費用の定量分析
- 気候変動リスクの見える化と適応策の支援
- 物理的リスクのシナリオ分析における気象データの活用
- ESGキャットボンドやCATボンド市場の動向
金融庁によると、このパネルは、企業や金融機関が気候関連リスクを分析し、リスク低減や機会創出のための適応策を検討・実施できるよう、気候変動関連データの提供・活用を促すことが目的です。
そもそも気候関連の物理的リスクとは?
気候関連の物理的リスクとは、気候変動によって生じる自然災害や気象の変化が、企業や金融機関の事業・財務に与える影響をいいます。
例えば、豪雨、洪水、台風、猛暑などが発生すると、工場や店舗が被害を受けたり、原材料の調達が遅れたりする可能性があります。その結果、売上の減少、修繕費用の発生、資産価値の低下などにつながることがあります。
金融機関にとっても、融資先企業が災害による影響を受ければ、返済能力が低下する可能性があります。保険会社では、自然災害による保険金支払いが増える可能性があります。このため、金融機関は気象データや災害データを活用し、取引先や保有資産が受けうる影響を分析する必要性が高まっています。
また、サステナビリティ開示とは、企業が環境、社会、企業統治に関する取組やリスク、機会などを投資家等に説明することです。気候変動が企業の財務に影響する可能性がある場合には、その影響をどのように考え、対応しているかが重要な情報となります。
なぜ重要?
今回のパネルは、特に金融機関、上場企業、サステナビリティ情報の開示に関わる担当者に関係するテーマです。
金融機関では、融資先や投資先が気候変動による災害の影響をどの程度受ける可能性があるかを把握することが、リスク管理につながります。気象データや災害データを使った分析の方法、分析上の課題を知ることは、今後の実務を考えるうえで参考になります。
企業側でも、気候変動の影響は自社だけでなく、取引先、物流網、原材料の調達先などを通じて及ぶ可能性があります。サステナビリティ開示が進むなかで、気候関連のリスクや対応策を整理する重要性は高まっています。
ただし、今回の公表は実践パネルの開催案内です。新たな税率や税務申告の手続きが示されたものではありません。
会計・税務の学習ポイント
会計や財務では、企業が将来どのようなリスクを抱えているかを把握する視点が重要です。気候変動による災害は、建物・設備などの資産、売上、費用、資金繰り、借入金の回収可能性などに影響する場合があります。
初心者は、まず「環境に関する情報も、企業の財務や経営判断と結び付くことがある」と理解するとよいでしょう。サステナビリティ開示では、単に環境への取組を紹介するだけではなく、気候変動が事業に与えるリスクと機会を把握し、投資家などに説明することがテーマになります。
実務では、自社の拠点や主要な取引先がどのような災害リスクを受けうるか、災害が起きた場合に売上や費用へどのような影響がありうるかを確認することが、リスク管理や情報開示の基礎になります。
この記事で覚えておきたいこと
- 気候変動は環境問題であるだけでなく、企業の資金調達や金融機関の融資・保険にも影響する財務上のリスクです。サステナビリティ開示では、気候関連リスクを把握し、必要な情報を説明する視点が重要になります。
学習ポイント:気候変動は環境問題であるだけでなく、企業の資金調達や金融機関の融資・保険にも影響する財務上のリスクです。サステナビリティ開示では、気候関連リスクを把握し、必要な情報を説明する視点が重要になります。

カイくんのひとこと
気候変動は環境問題であるだけでなく、企業の資金調達や金融機関の融資・保険にも影響する財務上のリスクです。サステナビリティ開示では、気候関連リスクを把握し、必要な情報を説明する視点が重要になります。